この電気モーターは、リアアクスルのものとは異なり、内部に電機子を備える常時充電同期モーターです。高トルク、軽量、小さな容量で大出力を発揮します。
下流側のトランスミッションは、発進加速とサーキット走行において最高のパフォーマンスを発揮するように設計されています。そのため低回転域でも高トルクが発生するように固定減速比で前輪を駆動します。電気モーターは最高回転数16,000 rpmに達し、これは約265 km/hの速度に該当します。この速度を超えると、トランスミッションと電気モーターは、インテグレーテッドドッグクラッチによって切り離され、いつでもエレクトリック4WD機能を使用することが可能になります。
革新的なクーリングシステムを備えたハイブリッドモジュール
ポルシェは、リアアクスルに搭載するために、外部の電機子と1本歯のコイルを備えた常時充電同期モーター用の新しい冷却方式を開発しました。これは水冷と空冷の両方で冷却できる初のハイブリッドモーターです。電気モーターはパワーとトルクがカイエンS E-ハイブリッドやパナメーラS E-ハイブリッドよりおよそ3割増加し、その分、冷却させる必要があるため、ポルシェのエンジニアは新しい冷却方式を開発しました。電気モーター内部の静止部品であるステーターは、従来通り水冷式ですが、外側の回転部の永久磁石は空冷式になっています。空気の冷却は、フローディストリビューターを備えたエアチャンネルからエアフィルターを通して外気を導入するブロアホイールによって行われ、ハウジングに内蔵された多数のダクトから熱が逃げます。この対策によって、均一なエアフローの配分とコイルの冷却が可能になります。極めて効率的なこの冷却システムは、サーキットなど、継続的に大きなパワーを発揮する場合には非常に有効です。
プラグイン充電システムによるリチウムイオンバッテリー
918 スパイダーの駆動バッテリーは、他のハイブリッド車に現在使用されているものよりさらにパワフルです。1.7 kW/kgというハイブリッドバッテリーの中でも最高の比出力を備え、eブースト機能により最高出力230 kWという極めて高いパフォーマンスを発揮します。電気モーターの高い性能条件を満たすために、駆動バッテリーの各セルは、最高のパフォーマンスを発揮するように918 スパイダー専用に開発されています。バッテリーはシート後方のモノコックフロアに横向けに設置され、オンボードチャージャーのAC電源やオプションのポルシェ クイックチャージステーションのDC電源によって充電することができます。充電ポートは右側Bピラーのフラップ裏側に配置されています。
(※ 仕様は国により異なることがあります)