世界初の7速マニュアルトランスミッションも、991シリーズの911に採用されました。この7速マニュアルトランスミッションによって、911シリーズは切れ味の良いシフト特性を新たに獲得しています。新しいマニュアルトランスミッションは、7速PDKを基に設計されたもので、快適性とスポーツ性に優れたシフトチェンジが可能です。ニューモデルの911シリーズは、6速でトップスピードに到達。7速は燃料消費量を抑えるロングレシオで、低いエンジン回転数での高速クルージングが可能です。7速マニュアルトランスミッションは優れた効率性の実現と重量の最適化によって、車両の燃費性能を向上させることに貢献していますが、オートスタート/ストップ機能を標準装備している点も見逃せません。7速PDKがモジュールタイプのシステムとして設計されたため、7速マニュアルトランスミッションには数多くの同一部品を使用することができました。しかし、克服しなければならない課題がひとつありました。それは、PDKのコンセプトを採用すると、シフトパターンが通常の「H字型」になるようにギアをレイアウトできないということです。そこで、マニュアルトランスミッション用のシフトアクチュエータを特別に開発しました。このシフトアクチュエータを使用すれば、PDKのギアセットを使って、シフトパターンを従来の「H字型」にすることが可能になるのです。また、特許取得済みのシステムが、誤ったシフトチェンジを防ぎます。例えば、7速へのシフトは5速か6速からでないとできないようになっています。