ボディはカーボンファイバー/ケブラーで作られ、車両重量1,050kgのこの車はプロトタイプを相手に卓越した性能を示し、ル・マンでは総合2位と3位を占め、GTクラスでの勝者となりました。1年後、ポルシェは911GT1エボリューションでル・マンに帰ってきました。この車は空力特性が最適化されると同時に、シャシーが改良され、さらにエンジンマネジメントシステムも見直されていました。しかし、この911GT1エボリューションは2台ともゴール直前でリタイヤしてしまいます。その後FIA GT選手権に出場した時には、初めてシーケンシャルギアボックスが搭載されました。
また1996年には、ル・マン、デイトナ、セブリングでのクラス優勝を始めとして、プライベートチームは911GT2によって数々の成功を収めました。SCCAワールドチャレンジとBPR耐久選手権でもポルシェが栄冠に輝いています。1997年、911GT2、911GT2 エボリューション、911GT1で戦ったプライベートチームは、前年度から続けて偉大な成果を挙げることができました。
1998年はかつてない最高のシーズンになりました。カーボンファイバー製モノコック化された最初のポルシェのレーシングカーである911GT1は大きな最適化を経て、偶然にも会社の50周年記念にあたる年に、ル・マンでポルシェのワークスチームにワンツーフィニッシュをもたらしました。さらにデイトナでのG1とG2クラス、セブリングでのGT2クラスでの勝利を筆頭とし、各国のプライベートチームはGT2やGT1エボリューションで勝利を手にすることになり、またワークスチームはFIA GT1のコンストラクターズ選手権で2位に入賞してシーズンを終えました。
1999年のル・マンのスタートラインに並んだのは、水冷エンジンを搭載した新型911GT3Rでした。3.6リッターの水平対向エンジンは最高出力415PS(305kW)を絞り出し、ポルシェワークスによってサポートされたプライベートチームがクラス優勝を挙げています。GT3 Rのレース仕様、RS(2002年から)、最高出力455PS(335kW)を発生するGT3 RSR(2004年から)などで戦ったポルシェのプライベートチームは、一部ポルシェのサポートを受けながら、1999年から2010年の間にアメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)のGTクラスにおいて、ドライバー部門で10回、チーム部門で8回優勝しています。アメリカン・グランダムでもGT3は長い間ほとんど無敵を誇りました。1999年からは、ポルシェはドライバーズタイトルを7回、チームタイトルを6回、コンストラクターズタイトルを8回獲得しました。FIA GT選手権や数々の国内選手権でも、ポルシェのプライベートチームは同様の成功を収めています。
1999年の勝利デビューの後、GT3 R、RS 、RSR は熾烈なレースを勝ち抜き、2010年までにはクラス優勝を8回果たしました。911GT3 RSは2003年のデイトナ24時間レースで1973年の見事な作戦を再現させてプロトタイプを破り総合優勝に輝きました。世界で最も過酷なニュルブルクリンクでも、911GT3はそのポテンシャルを示しました。ここでは、2006年から2009年(2006年はGT3 MR、2007年以降はGT3 RSR)までに4年連続総合優勝に輝いています。通称「グリーンヘル」と呼ばれるこのサーキットで911 GT3 RSRが最後に総合優勝を手にしたのは2011年のことです。